お知らせ
聴覚に障がいがある方との「対話用マスク」の作り方
聴覚に障がいがあり、口話にてコミュニケーションをとる方から「会話している相手がマスクを着けていると何を言っているのかわからない、だからといって『マスクをとってほしい』とは言いづらくて困っている」というお話をお聞きしました。「たしかにっ!!」とは思いましたが、新型コロナウイルス感染予防のためには、私たち相談員にとってもマスクは必須です。
相談窓口の方や手話通訳者等と口話で会話される時は、口元が見えると聴覚に障がいがある方は安心して話を聞くことが出来ると思います。そこで簡易的なものではありますが、聴覚に障がいがある方との「対話用マスク」を作ってみました。
※日常的に装着するマスクではありません!必要時に使っていただく簡易マスクです。
※制作前には、手をきれいに洗い、清潔な状態で作業をしてください。
聴覚に障がいがある方との「対話用マスク」の作り方
<用意するもの>
・キッチンペーパー 1枚 (今回は24㎝×27㎝を使用)
・型紙用の紙(16㎝×10㎝のもの) 1枚
・サージカルテープ(医療用)
・毛糸(36㎝×2本) *両端を縛り、輪にしておく
・メタリックリボン 1本 (クッキー袋などの口を止めてある紐)
・A4リフィル(書類などをファイリングするポケット式の透明の袋)
<作り方>
①上記PDFに記載の型紙を準備する。
②キッチンペーパーを縦半分に折り、型紙の長辺をキッチンペーパーの輪になっている部分に置き、型をとる。
③リフィルの輪になっている部分を利用して、型紙より1㎝小さく型を取る。この時、耳側は型紙より2㎝小さく型を取る。
④キッチンペーパーを、上記PDFに記載の寸法で中央部分を切り取る。
⑤④で作成したキッチンペーパーを広げ、中央に③で型抜きしたリフィルの突起部分が下になるように置き、あごを覆う部分をつくるため、(あご側)穴の下3㎝のところ中心から直線で左右5㎝ずつ合計10㎝の間に切り込みを入れる。
⑥切り込みを、少しずつ重ねて中側に立てるようにしてサージカルテープでとめる。(土手をつくるようなイメージ) <ポイント>切り込みを入れる時、リフィルも一緒に少し切るとキッチンペーパーが立ちやすくなります。
⑦⑥で作成した部分と反対側(鼻側)を作る。中央の穴の開いている部分から、3㎝のところにメタリックリボンを置きサージカルテープでとめ、メタリックリボンを止めたところから鼻先に向けて1㎝の所に直線で10㎝(左右5㎝ずつになるように)の間に切り込みを入れ、鼻に沿うようなイメージで重なり合うように内側に曲げてとめる。
⑧マスクをつけた時、リフィルに口が付くのを防ぐため、メタリックリボンと同じ長さで4㎝幅ほどのキッチンペーパーを棒状に4つ折りし、メタリックリボンのすぐ下にサージカルテープでとめる。
⑨耳側になる端に、輪にした毛糸を置きキッチンペーパーの端を2回折り曲げてサージカルテープでとめる。反対側も同様に毛糸を置きキッチンペーパーの端を2回折り曲げてサージカルテープでとめる。(筒状になった部分の中で毛糸が動くように折る)
以上で完成です。
制作で工夫した点
ネットで「聴覚障害者とマスクの着用」と検索すると、ミシンや手縫いで制作されたマスクは見つかりましたが、制作が大がかりです。そこで「身近なもので簡単に作れないだろうか?」と思い、当センターにてキッチンペーパーマスクを数点制作したことを応用し、工夫と加工を繰り返し試行錯誤しました。
口元が見えるのはもちろん、加工しやすい点から「リフィル」(書類などをファイリングするポケット式の透明の袋)にたどり着きました。型紙もキッチンペーパーの切取り部分もオリジナルです。
制作の⑧番にて、棒状のキッチンペーパーを取り付けたのは、口がリフィルにつくことでマスクが動いたり、曇ったりして、口元が見えずらくなるのを防ぎます。
どんなところで使用するの?
聴覚に障がいのある方ご自身さんが使用するのではなく、公的な場の受付であったり、窓口で対応される方に使ってほしいです。
知ってください。
聴覚に障がいがある方にとって「口話」はコミュニケーションを図るのにとても重要です。この「対話用マスク」は、聴覚に障がいがある方と「対応する人」に必要である事を、より多くの方に理解してもらいたいと思います。
当センターにて大量に生産することはできませんので、『聴覚に障がいがある方との「対話用マスク」の作り方』を参考に、アレンジしながら独自の「対話用マスク」を作ってみてください。
制作してみての、ご意見・ご感想などありましたら当センターにご連絡ください。